馬喰横山で食べる焼肉ほど美味しいものはありません。味を楽しめるうえに、スタミナがつきます。仕事で疲れた時には、とりわけ美味しく感じるという人も多いです。馬喰横山の焼肉の美味しさは一体どこにあるのでしょうか。それを考える前に、焼肉そのものの定義について知っておきましょう。
焼肉とは、簡単に言えば豚や牛など動物の肉をあぶって焼いたものを言います。焼き方には色々あります、フライパンで焼いても良いですし、網焼きにしても良いでしょう。さらには串に刺して焼いても同様です。定義には色々ありますが、現在馬喰横山で食べるような焼肉という言葉は、ほとんどが朝鮮由来のものを指しています。馬喰横山の焼肉とステーキはどちらも焼いた肉ですが、どう違うのでしょうか。馬喰横山の焼肉のように単に焼肉というと、鉄板の上で牛や豚や鶏などの肉を焼くことを指します。しかし、ステーキというと分厚い牛肉を焼くことを意味しています。
肉食自体は、縄文時代からあったといわれています。西暦675年に天武天皇が肉食禁止令を出したという記録が残っていますから、相当古い時代から肉食がなされていたのでしょう。現在馬喰横山で食べられるような焼肉がいつから始まったのかというとそれほど古くはなく、1933年頃だといわれています。朝鮮半島は日本の一部であり、その食習慣が取り入れられて広まったのだと考えられます。ただし、これが爆発的に広まっていったのは、第二次大戦以降であるようです。もともと日本には、明治の文明開化の時代に、牛鍋といって牛肉を食べる習慣がありました。牛鍋は西洋料理が姿を変えたものであり、朝鮮から由来したものとは明確に区別されます。しかし、この習慣があったことで、朝鮮由来の焼肉が受け入れやすくなったといえます。
終戦直後の混乱期は食糧難の時代でもあり、肉自体が禁制品となっていたために、めったに市場には出回りませんでした。混乱の世相を反映してか、街には闇市が立ち並ぶようになりました。そこで売られていたのが、牛や豚の内臓です。そして、これらを焼いて食べさせたのがホルモン焼の始まりと言われています。その後、ホルモンだけではなく他の部位も焼いて提供するようになったことが、現在馬喰横山で提供されているような焼肉の始まりです。
馬喰横山の焼肉はなぜ美味しいのか、この答えは科学的にも証明されています。肉にはアラキドン酸という脂肪酸が含まれています。これは人間の身体にとって必要な脂肪酸と言われていますが、実は体の中で作り出すことができません。野菜などにも含まれておらず、肉食によってのみ摂取ができます。肉を食べると舌がアラキドン酸を感知し、それを快感として脳に伝えます。さらにアラキドン酸はアナンダマイドという物質に変化します。これが次なる快感を呼び起こし、肉食自体が美味しいものだと感じ取ります。この美味しさを倍加させているのが、上質な肉を選ぶということです。
馬喰横山の焼肉はグレードの高いものを使用しており、スーパーなどではまず手に入りません。厳選された和牛を丁寧に仕込んでおり、それをお客さんの目の前で焼くことで、目と耳と鼻を一層刺激します。さらにはタレにも秘密があります。時間と手間をかけて作り上げた秘伝のタレが、肉の美味しさを倍加させています。肉の美味しさとタレの旨さが混然一体となって、五感を巡るのです。この美味しさは食べてみてこそよく理解できるといえます。
焼肉の楽しみの一つとして、部位ごとの味を楽しむ食べ方があります。肉は部位ごとに味が微妙に変化します。その部位に合わせた味付けをし、旨さが更に際立ってきます。肉を食すのは、自分自身の体が自然に欲求していることです。自然に従ってよりおいしい形で食べることが、心と体の健康に繋がっているのです。